SONY E 16-55mm F2.8 G 使用レビュー。「これが一本あれば安心」なレンズ。でもちょっと大きくて重い。
SONY E 16-55mm F2.8 Gは、F値2.8通しのソニー純正標準ズームレンズ(APS-C用)。いわゆる「大三元の真ん中」にあたるレンズで、優れた光学性能を誇りスチール・動画ともに「とりあえずこれがあれば安心」という便利な一本です。
これからSONYのAPS-C機デビューする方、APS-C用のEマウントレンズで万能な一本を探している方など、今回のレビューが参考になれば幸いです。
- ソニーレンズのブランドの違い(グレード分け)
- 「SONY E 16-55mm F2.8 G」の特徴
- 「SONY E 16-55mm F2.8 G」の外観・デザイン
- 「SONY E 16-55mm F2.8 G」の使用感
- 「SONY E 16-55mm F2.8 G」の作例
SONYレンズのブランドの違い(グレード分け)
「SONY E 16-55mm F2.8 G」のレビューに入る前に、先にSONYレンズのブランドについて整理しておきます。SONYのレンズはレンズの品質・性能の違いによって、以下の4つのブランド(グレード)に分かれます。
- Gmaster:SONYレンズにおける最高峰・ハイエンドモデルで、高品質・高性能で圧倒的な描写力を誇る。ただし価格がめちゃ高い。
- G:SONYレンズ内でのハイグレードモデル。Gmasterには及ばないものの、高い性能と描写力を持つ。価格はまぁまぁ高い。
- Zeiss:ハイグレードモデルだが、現在は「G」よりもやや下に位置付けされている(?)モデル。ZEISSと共同開発したレンズに付けられ、かつて(Aマウント時代)はZeissがハイエンドに位置付けられていた。
- 無印(通称):上記3つのどのグレードにも分類されないモデル。そこそこの性能・描写力。お値段は比較的安め。
今回レビューする「SONY E 16-55mm F2.8 G」はAPS-C用のレンズで、名前にもあるとおり「G」のグレード。APS-C用のレンズでは「Gmaster」のグレードのものは存在しないので、このレンズは事実上SONY APS-C用レンズの最高峰というわけです。なのでお値段はそれなりにしましたよ…(価格は後述)。
SONY E 16-55mm F2.8 Gはこんなレンズ
そんなSONY E 16-55mm F2.8 Gですが、主な特徴、価格、スペックなどをまとめていきます。
主な特徴
SONY E 16-55mm F2.8 Gの主な特徴を簡単にまとめると、以下の点が挙げられます。
- フルサイズ換算24〜82.5mmの標準ズームレンズ
- ズーム全域で開放F値2.8を実現
- 高い解像力で隅々まで繊細な描写が可能
- ナノARコーティングによって逆光でもフレアやゴーストを大幅に低減
- 最短撮影距離0.33m、最大撮影倍率0.2倍で、近接性能も高い
- 防塵・防滴性能も兼備
- ただしレンズ内手ぶれ補正は非搭載
僕はこれまでSONYのAPS-Cセンサーのカメラだとα6300、6500、6600と使ってきた人間なのですが、このSONY E 16-55mm F2.8 Gは取材の仕事などでよく使っています。
やっぱり標準ズームは使いやすいし、F2.8通しなのでどの画角でも光量が不足することも少ないですからね。とにかく万能なので「これさえ持っていけば安心」という意味で、使用頻度が高いレンズです。
サイズ・重量
そんな高性能なこのレンズですが、APS-C用レンズとしてはちょっとサイズが大きい&重量は重め。大きさは最大径73mm × 全長100mm、重さは494gになっています。
このサイズ感がわかりやすいように、僕がα7シリーズで使っているフルサイズ用の標準ズームレンズ「SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary」と比較したのが、下の画像です。フルサイズ用とAPS-C用の違いがあるのに、ほぼ同じ大きさ笑。
というより、むしろ重さだけでいうならSONY E 16-55mm F2.8 Gの方が重いんですわ笑(SIGMA:470g(Eマウント)、SONY:494g)。もちろん多少のズーム域の違いはありますけどね。
でもやっぱりAPS-Cの魅力って、レンズも合わせたシステム全体のコンパクトさ・軽さだと思うので、その点に関してはSONY E 16-55mm F2.8 Gは他のレンズと比べてやや部が悪い気がしますね。まぁ、僕が非力なだけかもですけど。
価格
そしてかなり高性能なこともあり、SONY E 16-55mm F2.8 Gは価格もちょっとお高め。2023年8月時点の新品実売価格だと、だいたい130,000円前後になっています(定価は179,300円)。
この価格だとフルサイズレンズに手が届いてしまう笑。ただもちろん中古市場だともう少しお安くて、10万円台で手に入れることはできます。
僕が買った当時はSONY APS-C用でF2.8通しの標準ズームってまだ選択肢がほとんどなかったので、これを選ばざるを得なかったわけですが(買ってからすぐ後に「Tamron 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD」が出ました笑)、今から購入するときは性能を取るか、価格を取るか、この辺りが分かれ目になりますね。
その他仕様
念のため、SONY E 16-55mm F2.8 Gのメーカー公表の仕様を載せておきます。他メーカーのレンズと比較する際の参考になれば幸いです。
名称 | SONY E 16-55mm F2.8 G(SEL1655G) |
対応撮像画面サイズ | APS-Cフォーマット対応 |
対応マウント | ソニー Eマウント |
レンズタイプ | 標準ズーム |
焦点距離(35mm換算) | 24〜82.5mm |
レンズ構成 | 12群17枚 |
最小絞り値 | F22 |
開放絞り値 | F2.8 |
絞り羽 | 9枚 |
最短撮影距離 | 0.33m |
最大撮影倍率 | 0.2倍 |
フォーカス | AF/MF |
手ぶれ補正 | なし |
防塵防滴 | ◯ |
フィルター径 | 67mm |
最大径×長さ | 73×100mm |
重量 | 494g |
SONY E 16-55mm F2.8 Gの外観・デザインレビュー
特徴等を整理した後は、念のためSONY E 16-55mm F2.8 Gの全体の外観・デザインを見ていきます。
鏡筒
まずはレンズ鏡筒から。前述のとおり、サイズ感はちょっと大きめ。手に持った時も少しずっしり感があります。
たださすがGレンズ。鏡筒の材質はプラスチックなものの、マットなカラーリングで安っぽさは全くありません。所有欲を満たしてくれるデザインですね。
ズームリング・ピントリングはゴム素材。回すと滑らかで適度なトルク感を感じます。その他、AF・MFの切り替えスイッチ、フォンクションボタン1つも付いています。
なお、このレンズはインナーズームではないので、ズームリングを回すと下の画像のようにニョキっとレンズが繰り出してくるのですが、これがちょっと長め。望遠側最大までズームさせると、これだけ伸びます。
なので動画撮影でジンバルを使う時などはちょっとバランスをとりづらいかもしれません。バランスをとるときは、レンズを半分くらいまで繰り出した状態でセッティングするといいですね。
フード
フードは花形フード。こちらもプラスチック素材ですが、特に安っぽさはありません。
ただ、やはりレンズ鏡筒が比較的大きめなので、フードをつけるとさらに主張が強くなる気はします。
前玉・後玉
前玉はこんな感じで結構大きめ。ちなみにフィルター系は67mmで、SONYレンズでは“メジャー”なサイズになっています。この径ならレンズプロテクター、NDフィルターなどを使い回しできるから良いよね。
後玉はこんな感じになっています。なお、このレンズは防塵防滴構造になっているので、マウント部分にゴムのシーリングも付いています。そのほかレンズ内の複数箇所に防塵防滴加工が施されているみたいなので、屋外でも使いやすい仕様です。
SONY E 16-55mm F2.8 Gの使用感レビュー
全体の外観・デザイン等のチェックが終わった後は、実際にSONY E 16-55mm F2.8 Gを使った際の使用感をレビューしていきます。
なお、描写に関して先にお伝しておきたいのは、このレンズはデジタル補正を前提に設計されています。そのため補正していない状態だとかなりのケラレと歪みが生じるレンズなので、以下のレビューは基本的に「デジタル補正後の個人的な感想」として綴っています。その点はご容赦くださいませ。
装着感
まずはカメラボディに着けた時の装着感から。今回は僕が愛用しているα6500に着けてみました。
SONYのAPS-Cレンズの中では少し大ぶりな方なので、α6500のボディにつけると少しレンズの主張が強いですかね。でもなかなか見た目はカッコいい。
ただ、レンズ重量がα6500よりも重いので(α6500:453g、レンズ:494g)、カメラを持った時にややフロントヘビーに感じます。なので持つときはカメラ本体を持つというより「レンズを左手で持って、右手はカメラに添えるだけ」というようなイメージで持った方が安定するかも。
ピントリング
ピントリングはヌルヌルとスムーズに動き、トルク感もしっかり。キットレンズとかによくあるスカスカな安っぽさはありません。この辺りはさすがGレンズといったところでしょうか。
シャープネス
そしてここからは写真の描写について。まずSONY E 16-55mm F2.8 Gのシャープネスですが、中心部から四隅まで開放からなかなかシャープな写り。さすがG。
また広角〜望遠域に画角を狭めていっても、そのシャープさは維持されている印象でした。望遠側だと若干甘くなるかな?と感じるところもあったけど、でも気になるレベルではないと思う。特にWebや動画で使う分には全く問題なしでしょう。
ボケ感
SONY E 16-55mm F2.8 GはF2.8通しということで、ボケ量に関してはもちろんめちゃくちゃ大きいわけではないですが(特にAPS-Cですからね)、それでもボケ自体はなかなか滑らかな印象。
ピント面のシャープさと前ボケの柔らかさのギャップは、シャッターを切っていてとても楽しくなります。
発色
発色も良し。ソニーのカメラだと元々少し寒色に寄ってしまう傾向がありますが、それでもしっかりとした色乗りで、鮮やかな色味を楽しむことができます。
ただ色収差は少し見られる感じがしました。特に開放付近のボケにフリンジが出やすいかな? まぁこれも少し絞れば改善しますし、現像時に補正をかけてあげれば問題なしでしょう。
逆光耐性
SONY E 16-55mm F2.8 Gの逆光耐性については、僕が使っている限りではほとんど気になりませんでした。無理やり光源に向けたり、角度によってはややフレア・ゴーストが出る場面もあるけど、不自然な形で表出するわけでもないし、あくまでナチュラルな感じ。
むしろこの手のレンズにしては、かなりフレア・ゴーストは抑えられているのではないでしょうか。
周辺減光
個人的な好みとしてあまり気にしていない周辺減光については、開放付近で少し出ますね。ただ絞ればすぐに解消されるので、ここも気になるレベルではないですかね。
ただ最初に「このレンズはデジタル補正が前提」とお伝えしたとおり、補正していないと盛大な減光が発生するので笑(使い物にならないレベル)、周辺減光に関しては必ず補正が必須です。
手ブレ
最後に手ブレについて。「特徴」のところにさらっと書いていたんですが、実はこのSONY E 16-55mm F2.8 Gにはレンズ内手ぶれ補正機能はついていません。このレンズ最大の弱点がここかも。
手ぶれ補正機能がついているα6500、α6600などと組み合わせれば、スチールなら手ブレは気になりませんが、6400以下のカメラだと少し扱いづらいかもしれません。
さらに動画となると、α6600でも少し手ブレが気になります。動画の仕事で何度か使ったことがあるんですけど、α6600でもブレが結構あって、使えないカットも量産してしまいました笑。
まぁそもそもα6600の手ぶれ補正はあまり強くないですからね。最新のα6700やFX30などと組み合わせれば、かなり手ブレは抑えられるのかなと思います。
SONY E 16-55mm F2.8 Gの作例
実際には僕はSONY E 16-55mm F2.8 Gを使い始めてすでに3年が経っていますが、ほとんどが取材等の仕事で使っているので、あまり表に出せる作例がない笑。そのため、前に近所を散歩した時に撮影した作例を簡単にご紹介しておきます。たいした作例じゃないけど。
基本的にはホワイトバランスはオート、全てJPGの撮って出しです。ただWebに載せる関係上、データサイズを落とさないといけないのでリサイズは行っています。そのため画質が結構落ちているものもあるので、その点はご容赦ください。
使用感まとめ
以上がSONY E 16-55mm F2.8 Gの使用レビューでした。SONY純正の標準ズームでF2.8通し、描写力の高さ。これだけでSONYユーザーなら購入理由になってしまうくらい、かなり優秀なレンズです。
ただちょっと重たいこと、手ぶれ補正がないこと、そしてSONYらしくお値段がしっかり高いので笑、この点がネックになるかもしれません。
正直、個人的にはコスパがいいとは言い切れないのですが、とにかく「この一本だけで綺麗に色々撮りたい!」という人にはハマるレンズなのかなと思います。僕みたいに取材などの仕事で使う!という時には、この一本があると本当に心強いです。SONY E 16-55mm F2.8 Gだけ持っていけば、ほぼ事足りますから。
当ブログの中の人の感想
今回はSONY E 16-55mm F2.8 Gの使用レビューを綴りました。
先にお話ししたとおり、僕はすでにこのレンズを使い始めて3年以上が経っていますが、取材の仕事ではいまだに持ち出すことが多いレンズです。とにかく万能でなので、迷ったら「とりあえずこれ一本持っていけばいいや」と思える。この安心感が、SONY E 16-55mm F2.8 Gの一番の魅力かも。
動画で使う場合は、最新のα6700やFX30なら手ぶれ補正もかなり効くし、相性がかなり良いと思うので、気になる方はぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
- Amazonでお得に買い物するなら… →「Amazonプライム会員」(30日間無料→期間内に退会もOK)がオススメ
- Amazonってお得な“整備品・新古品”が買えるって知ってた? →「Amazon Renewed」で探してみる
- Amazonって学生なら“学割”も効くらしい →「Amazon Student」(まさかの半年間無料)に登録すればOK