「SIGMA fp」レビュー。2ヶ月使ってわかった良いところ・残念なところを詳細にまとめました。
先日、僕は「SIGMA fp」というミラーレス一眼カメラを購入し、その購入レビューを綴りました。とにかくこのカメラは写りが感動的に素晴らしい、本当に。ただその分、クセも強い。
そのクセの強さゆえに「めっちゃ良いカメラ!」という人もいれば、「何これ、使いにくい!」という人も続出。SIGMA fpはかなり使う人を選ぶカメラに仕上がっています。
そこで今回は、SIGMA fpを実際に2ヶ月使った僕が、このカメラのどこが良くて、どこが使いにくいのか、それらのポイントをまとめてみようと思います。
SIGMA fpの購入を検討中の方、他メーカーからの乗り換えを考えている方の参考になれば幸いです。
- SIGMA fpの特徴
- SIGMA fpの良いところ(メリット)
- SIGMA fpの残念なところ(デメリット)
- SIGMA fpはこんな人におすすめ
SIGMA fpって、こんなカメラ
まずはそもそも「SIGMA fp」とはどんなカメラなのか、その特徴を簡単にまとめておきます(詳細は下に続きます)。
- SIGMAのフルサイズセンサーミラーレス一眼カメラ
- フルサイズセンサーミラーレス一眼の中でも「世界最小・最軽量」のコンパクトボディ
- 『撮ることの真ん中だけを凝縮』しているから様々な機能が削ぎ落とされている
- 様々なアクセサリーを装着してカスタマイズできる
SIGMAのフルサイズセンサーミラーレス一眼カメラ
「SIGMA fp」は、光学機器製造メーカーである株式会社シグマから販売されているミラーレス一眼カメラ。センサーはフルサイズセンサーを搭載していて、コアなSIGMAユーザーから定評のあるカメラです。
ちなみに僕は結構SIGMAが好きで、SIGMA fpの他にも、SIGMAから販売されている「SIGMA DP2」というコンデジも所有しています。
フルサイズセンサーミラーレス一眼の中でも「世界最小・最軽量」のコンパクトボディ
特に「SIGMA fp」の大きな特徴に挙げられるのが、そのコンパクトさ。フルサイズセンサーミラーレス一眼の中でも”世界最小・最軽量”の小ささを誇ります。
サイズは112.6×69.9×45.3mmで、まさにコンデジ級の小ささ。そして重量に至ってはなんと370g! 本当にフルサイズセンサーを積んでいるのか疑いたくなるほどの軽さです。
軽いと持ち出しやすいし、使っていても疲れにくいので、普段使いのカメラとして最適。
『撮ることの真ん中だけを凝縮』しているから様々な機能が削ぎ落とされている
そんな驚愕のコンパクトボディであるがゆえに、いろいろな機能は削ぎ落とされています。
特にSIGMA fpは『撮ることの真ん中だけを凝縮したカメラ』(メーカー談)とのことなので、他のカメラにはついている便利な機能・ボタンなどはほぼ無し。
そのため使いやすさ・ユーザビリティの点においては、他のカメラと比較すれば劣る部分も多々あります。というより、使いにくい!という感想を持つ人の方が多いでしょう(具体的には後述)。
様々なアクセサリーを装着してカスタマイズできる
ただ、そんな機能性の低さを“後から補う”ことができるのも、SIGMA fpの面白いところ。
電子ビューファインダーやグリップ、動画撮影用のリグなど、カメラ周りに色々とカスタマイズできる余地が作られているので、自分好みの仕様に仕上げることができます。
そういったある種の“二面性”を持っているカメラなので、「fp(フォルテッシモ・ピアニッシモ/とても強く、とても弱く)」という名前が付けられているんだとか。
他のメーカーのカメラとは一線を画す存在です。
SIGMA fpの主なスペック
念のため、SIGMA fpのメーカー公表のスペックも下に載せておきます。他製品のカメラとのスペック比較をしたい方はご参考までにご覧ください。
ブランド | SIGMA |
タイプ | ミラーレス |
レンズマウント | ライカLマウント |
画素数 | 2530万画素(総画素) 2460万画素(有効画素) |
撮像素子 | フルサイズ(ベイヤーCMOS) |
感度 | 標準:ISO100~25600 拡張:ISO6、12、25、50、51200、102400 |
記録フォーマット | JPEG/RAW |
連写撮影 | 最高18コマ/秒 |
シャッタースピード | 電子:1/8000~30秒 |
液晶モニター | 3.15型(インチ)、210万ドット |
ローパスフィルターレス | ◯ |
撮影枚数 | 280枚(液晶モニター使用時) |
記録メディア | SDカード、SDHCカード、SDXCカード、外部SSD(USB3.0接続) |
スロット | シングル |
防塵防滴 | ◯ |
ボディ内手ぶれ補正 | × |
タッチパネル | ◯ |
内蔵フラッシュ | × |
背面液晶モニター | 可動しない |
USB充電 | ◯ |
RAW+JPEG同時記録 | 可能 |
バルブ | ◯ |
RAW | 12bit/14bit |
セルフタイマー | 10/2秒 |
インターフェース | USB3.1 Gen1 Type-C、HDMIマイクロ |
AFセンサー測距点 | 49点選択モード、自由移動モード |
カラーモード | 15種類(スタンダード、ビビッド、ニュートラル、ポートレート、風景、シネマ、ティールアンドオレンジ、サンセットレッド、フォレストグリーン、FOVクラシックブルー、FOVクラシックイエロー、モノクローム、OFF(切)、パウダーブルー、デュオトーン |
4K対応 | ◯ |
動画記録画素数 | 4K(3840×2160) 29.97fps |
ファイル形式 | CinemaDNG/MOV |
映像圧縮方式 | H.264 |
音声記録方式 | リニアPCM (2ch 48kHz/16bit) |
Wi-Fi | × |
Bluetooth | × |
サイズ | 112.6×69.9×45.3mm |
重量 | 370g |
カラー | ブラック |
価格 | 店頭価格:18〜20万円前後(税込) |
SIGMA fpの良いところ・残念なところ(メリット・デメリット)
そんな他メーカーのカメラとは一味違う、面白い特徴を持ったSIGMA fpですが、そのような“尖った”カメラだからこそ、良いところもあれば残念なところ多々もあります。
SIGMA fpの購入を検討している方にとっては、この「良いところ・残念なところ(メリット・デメリット)」を押さえておかないと、買ってから「失敗した!」ということになりやすいと思うので、これから僕が実際に2ヶ月使ってみて感じた「良いところ・残念なところ」を整理していきたいと思います。
SIGMA fpの良いところ
まずは僕が感じたSIGMA fpの良いところ(メリット)をまとめていきます。個人的な好み・主観も入っているので、その点はご容赦ください。
①jpeg撮って出しの色・諧調が抜群に良い
まず1つ目は「jpeg撮って出しの色が抜群に良い」というところ。とにかくこれが本当に素晴らしい。いや、本当に。
使い慣れたSONYのカメラと比較してしまうから余計にそう感じるのかもしれませんが、SIGMA fpは色の乗り・諧調の滑らかさが尋常じゃありません。個人的にはモノクロの時の(特に暗部の)グラデーションの滑らかさ・被写体の質感・立体感には感動すら覚えました。
よく「FUJIFILMのカメラは色が良い」なんて言われたりしますが(僕も「X-E3」を使っています)、個人的にはSIGMA fpの方が感動レベルでは上なんじゃないかと感じているほど。
とにかくこのjpeg撮って出しの色味・諧調の良さは、このカメラの大きな強み。この写りだけで買って良い。そんなレベルです。
②カラートーンが豊富
そのモノクロだけでなく、SIGMA fpには15種類もの「カラーモード」が用意されていて、どれもユニークで美しい色味を出してくれます。ここもSIGMA fpの大きなメリット。
具体的なカラーモード15種類は以下になります。
スタンダード/ビビッド/ニュートラル/ポートレート/風景/シネマ/ティールアンドオレンジ/サンセットレッド/フォレストグリーン/FOVクラシックブルー/FOVクラシックイエロー/モノクローム/パウダーブルー/デュオトーン/OFF(切)
カラーモードについてもよくFUJIFILMが話題に上がりますが、FUJIFILMのフィルムシミュレーションは全18種類。ただし、その中にはモノクロやアクロスのカラーフィルターが含まれているので、純粋なプロファイルの数で言えば12種類ほどなんですよね。
そういったカラーモードの豊富さにおいても、SIGMA fpはなかなか優秀なのです。
③恐ろしく小さく・軽い
そして3つ目の良いところとしては、やっぱりサイズ感。とにかく小さい・軽いです。僕は「軽いは正義」を信条とする人間なので、SIGMA fpのコンパクトさは本当にありがたい。
特に個人的には370gという軽さがお気に入り。やっぱりフルサイズセンサーのカメラとなると、どのカメラも大体重量は600g以上になることがほとんど。
それと比べるとおよそ半分くらいの重さですからね(というか、500mlのペットボトルより軽いんだもんね)。長時間持ち歩いたり、首や肩から下げていても疲れないので、カメラを持っていくことが苦にならないのが本当に良い。
④ミニマルで洗練されたデザイン
そしてSIGMA fpはカメラとしてのデザインも秀逸。これは好みの部分が相当あると思いますが、全体の外観は超ミニマルで洗練されたデザインになっています。
無駄な装飾などは一切なく、まさに鉄をそのまま箱形に切り出したような表情。
このデザインが本当にお洒落で、個人的にかなりお気に入り。「昔ながらのカメラっぽい形の方が好き!」という人もいるかもしれませんが、ファッションアイテムとしても使えそうなデザイン性の高さは、他のカメラにはないSIGMA fpの大きな魅力と言えます。
⑤LAWでの動画撮影が可能
また、SIGMA fpは動画性能も高く、LAWでの動画撮影(CinemaDNG)も可能になっています。
このカメラは2020年に発売されていますが、その時点ではフルサイズの民生機でLAW動画が撮れるものはなかったはず。動画の画質においてもかなり先進的・尖った強みを持っているので、動画クリエイターさんからも一目置かれる存在です。
SIGMA fpの残念なところ
続いてはSIGMA fpの残念なところも整理していきます。正直なところ、残念な点の方が多いんです、このカメラ。
それでもあまりの写りの良さに、その残念な点が打ち消されるのですが笑、ただ購入を検討している方は残念ポイント(デメリット)もしっかり押さえておいた方がいいと思うので、以下の内容もぜひ参考にしてみてください。
ただ、こちらも個人の主観や好みなども入ってしまっているので、その点ご容赦を。
①グリップがかなりしにくい
1つ目はグリップのしにくさ。これは購入時にまず覚悟しなきゃいけないところです。超コンパクトなボディであるがゆえに、かなりグリップしにくい。
しかも全体のデザインに凹凸などがほとんどない四角い箱型の形状だから、右手で”握る”ことはできないといって間違いありません。大きなレンズをつけた時にフロントヘビーになって、これがかなりきつい。
なので撮影時は基本的に左手でレンズを持って全体を支えて、右手はシャッターボタンに添えるだけ、みたいなスタイルになります。慣れればそんなに問題ないかもしれませんが、最初のうちはすごく使いづらく感じる。
ただこの弱点は別売りのハンドグリップ等を装着することによって、ある程度改善することはできます。僕も純正の「HG-11」を購入して、速攻で着けました。
②オートフォーカスは弱め
次の残念ポイントはオートフォーカスの弱さ。正直なところ、SIGMA fpのオートフォーカスは正確性・スピードともに大したことはありません。
以前のSIGMAのカメラと比べればもちろん改善はされてるんでしょうけど、そもそもAFはコントラストAFのみだし(位相差AF非対応)、測距点も少ない。
あと使った際の実感としては、被写体の背景が明るい場合にフォーカスに迷いが出やすかったり、後ろに抜けてしまうこともよくありました。暗い場所・被写体ならなおさらきつい。
さらにAF-Cで動く被写体を追従するのはほぼ無理。動画だとさらにそれが顕著なので、総じてSIGMA fpは動的な被写体の撮影にはかなり厳しいというのが、僕の結論です。
③ボタンのカスタマイズ性が低い
機能という意味では、ボタンのカスタマイズ性が低いのも残念ポイントの1つ。SIGMA fpは余計な機能をことごとく削ぎ落としているので、ボタン類も必要最低限しかありません。
そのため他のカメラではできるような「機能割り当て」などのボタンカスタマイズがほとんどできない。使いやすいようにいつもカスタマイズしてる!という人にとっては、ここもかなり使いづらいと感じるのではないでしょうか。もちろん僕もその一人です。
④ローリングシャッター現象がひどい
機能を削ぎ落としているといえば、SIGMA fpってメカシャッターもないんですよね。電子シャッターのみ。その弊害として、早く動く被写体を撮影しようとすると、ローリングシャッター現象による歪みがめちゃくちゃ出ます。
あまりの歪み具合にびっくりして、自分で撮った写真は速攻削除してしまい手元にないのですが、下の引用させていただいた写真を見ればその歪み具合がよくわかるのではないでしょうか。
引用:デジカメWatch
やっぱりSIGMA fpは“動きもの”には弱いカメラ。スポーツや電車・車などの乗り物の撮影には全く向いていません。
なので、早い動きがないスナップ・ポートレート・風景など、使える場面が限定されるという点は、購入時にかなり注意した方がいいと思います。
⑤ボディ内手ぶれ補正機能がない
あと機能面で結構不便なのは「ボディ内手ぶれ補正機能がない」ということ。
最近のミラーレス一眼カメラって、ある程度のグレードのものならボディ内手ぶれ補正機能がついていることが多いですけど、SIGMA fpはここもカットされているので結構ブレます。
この辺りは撮影スキルが高ければある程度カバーできる部分でもありますが、カメラ初級者さんにとってはしんどいと感じる人もいるかも。
⑥ファインダーがないからマニュアルでのフォーカス合わせが難しい
物理的な機能としてはファインダーがないのも結構しんどいポイント。
SIGMA fpは背面液晶は綺麗なんですけど、日中の太陽の光などが当たると反射でかなり見づらくなります。その状態だとマニュアルフォーカスではピントがあっているのか全然わからない(ピーキングを強く表示してもダメ)。
この欠点は別売りの電子ファインダーを装着すれば解決するものの、このファインダーが結構デカいんですよね。
だから装着するとその分コンパクトさというメリットが一気になくなるので、ちょっと使いづらさがある。オールドレンズのようにマニュアルフォーカスで楽しむレンズが好きな人は、この点も要注意です。
⑦バッテリーがあまり持たない
つらつらと残念ポイントを綴っていたら、なんと7個目まできてしまいました(やはり尖ったカメラです)。この辺りで最後にしようと思いますが、7つ目の残念ポイントはバッテリー持ちの悪さです。
僕は2ヶ月ほどSIGMA fpを使いましたが、実感としてバッテリーはあまりよくないなという印象。実際にfpのバッテリーは容量が1,200mAhと小さめです。
そのため、撮影可能枚数はMaxで250枚くらいだと思います(メーカー公表値では280枚ってなってるけど、実感としてもっと少ないと思う)。予備バッテリーを持っていないと、一日楽しむには心もとないでしょう。
ただ予備バッテリーは純正のもの(「BP-51」)でも3,000円弱で購入可能なので、買い揃えるのにそれほどハードルは高くありません。持ち物は増えちゃうけど。
SIGMA fpが向いている人・向いていない人
そんなこんなで、SIGMA fpを2ヶ月実際に使ってみて僕が感じた良いところ・悪いところを綴ってきましたが、改めてみてみるとやっぱり結構尖ったカメラですよね。
その上で、最後に改めてSIGMA fpの良いところ・悪いところを踏まえながら、「このカメラが向いている人・向いていない人」という視点で、以下に整理してみました。
- フルサイズセンサーカメラを気軽に持ち歩きたい人
- 撮って出しで良い色味の写真を撮りたい人
- LAW動画撮影がしたい人
- 小ささ・軽さよりも機能や操作性優先な人
- 動きものの撮影(スポーツ・乗り物等)が好きな人
- SIGMA fpの変態性に耐えられない人
当ブログの中の人の感想
今回はSIGMAのフルサイズミラーレス一眼カメラ「SIGMA fp」を2ヶ月使ってみてわかった良いところ・残念なところ(メリット・デメリット)を綴ってみました。
残念なところの方が多くなってしまいましたが、ただそれでも僕個人的にはSIGMA fpを購入して全く後悔はしていません。というより、むしろ買ってよかったと心の底から思っているくらい。
だってあの写りの良さは本当に感動モノですもん。これは実際に使ってみないとわからないと思うので、まだ触ったことがない人はぜひ一度実機を試してみてほしい。本当にこのカメラの魅了されると思いますよ。
ただ残念ポイントの多さがやっぱり気になるという人もいるのは間違いないはず。かなり癖のあるカメラではあるので、今回の記事でまとめた「良いところ・残念なところ」を参考にしていただきながら、購入を検討してみてくださいね。
個人的には残念ポイントをはるかに上回るほどの写りの良さがこのカメラにはあるので、めちゃくちゃおすすめです。
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