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電子機器に書かれている「IPX」って何? 防水・防塵等級を表す規格をわかりやすくまとめてみた。

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スマートフォンやワイヤレスイヤホン・モバイルバッテリーなどのガジェットでは、スペック表を見ていると「IPX6」とか「IP68」とかの表記をよく見かけますよね。この言葉の意味って、知ってますか?

僕はガジェットが好きなんですけど、とりあえず「製品の防塵・防滴性能のレベルを示しているものでしょ?」くらいにしか理解してませんでした。ただ色々調べてみると、これってきちんと理解していないとトラブルにも繋がりかねないものだったんですよね。

そこで今回は、僕が調べた「IPX」などの規格の内容(等級ごとの性能レベル等)や注意点などをまとめてみました。これを知っておくと、今後より良いガジェット選びができるようになると思うので、僕と同じようにガジェット・便利グッズ好きな方の参考になれば幸いです。

この記事を読むとわかること

  • IPとは
  • 防塵等級別の内容・定義
  • 防水等級別の内容・定義
  • 防水等級「IPX8」の注意点
  • 防塵・防滴でおすすめのモノ

IPとは?

巷の製品では「IPX」や「IP68」など様々な文字列を見かけますが、共通しているのは頭につく「IP」という文字。まずはここから紐解いていきます。

僕が調べた限りでは、「IP」というのは“International Protection”の略で、精密機器の水や固形物に対する保護性能を表す規格とのこと。つまり、防塵・防滴のレベルを数値で示してくれるものということですね。

これは2003年に国際電気標準会議とやらで定められたらしい。最近になってよく見かけるようになった気がしてたけど、意外と歴史がある規格だったんですね。

複数の表記パターンがある

とても大事な規格だということは上の内容だけでもわかると思いますが、ただこの規格はちょっとわかりにくい部分もあります。というのも、表記の仕方が複数のパターンに分かれているからです。

分かれ方のパターンは以下のとおり。

表記の仕方(◯には数字が入ります)

  • 防塵・防水レベルの両方を表記する場合は「IP◯◯」
  • 防塵レベルだけを表記する場合は「IP◯X」
  • 防水レベルだけを表記する場合は「IPX◯」
  • 複数のレベルに合格していることを示すために「IPX◯/IPX◯」などと併記する場合もある

ね、わかりづらいでしょ笑。例を使ってもう少し詳しく説明すると、たとえば「IP68」という表記があった場合、これは左の数字が防塵等級を示していて、右の数字が防水等級を示しています。

そして仮にこの「IP68」の防塵等級のみを表したい場合は表記が「IP6X」になり、防水等級のみを表したい場合は表記が「IPX8」になる感じですね。

つまり、基本的には「IP + 2桁」で防塵・防水等級を示すわけですが、どちらか一方のみを示す場合は、不要な数字の方を「X」で省略している、という感じです。

防塵・防水等級の示し方

数字が大きいほど性能が高い

なお、IPの横につく数字は、大きい方が保護性能が高いことを意味します。

防塵レベルの場合は最低がゼロ(IP0X)、最高が6(IP6X)まで。防水レベルの場合は最低がゼロ(IPX0)、最高が8(IPX8)まであります。それぞれの等級の内容・定義については後述します。

ちなみに先日購入レビューを綴ったNushellyの「ミニシェーバー」は、防水等級が「IPX7」になっていました。

防塵・防水性能の等級別の内容を表にまとめてみた

続いて防塵・防水性能の具体的な等級別の内容を見ていきます。今回僕が調べた内容を表にまとめてみたので、ご自身のガジェットやスマホなどの性能等級をチェックしたいときの参考にどうぞ。

防塵性能

まずは防塵性能から。防塵レベルは「IP0X」から「IP6X」までの合計7段階に等級が分かれています。

元々「IP◯X」は、防塵というより“人体・固形物体に対する保護”のレベルを示すものらしいので、等級が低い場合は「手」や「指」が内部に侵入しないかどうか等をテストしてチェックしているみたい。

また、最近のスマホなんかはほとんどが最高等級の「IP6X」になっているようですね。ワイヤレスイヤホンとかだと、高性能なモノでも意外と防塵性能自体がついていない(IP0X相当)ものあったり。結構モノによって差がありそうです。

等級保護の内容テスト方法
IP0X保護なしテストなし
IP1X手の接近からの保護直径50mm以上の固形物体(手など)が内部に侵入しない
IP2X指の接近からの保護直径12mm以上の固形物体(指など)が内部に侵入しない
IP3X工具の先端からの保護直径2.5mm以上の工具先端や固形物体が内部に侵入しない
IP4Xワイヤーなどからの保護直径1.0mm以上のワイヤーや固形物体が内部に侵入しない
IP5X粉塵からの保護機器の正常な作動に支障をきたしたり、安全を損なう程の料の粉塵が内部に侵入しない
IP6X完全な防塵構造粉塵の侵入が完全に防護されている
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防水性能

続いて防水性能。防水レベルは「IPX0」から「IPX8」までの合計9段階に等級が分かれています。

テストする際は、実際に水をかけたり水に沈めたりして、内部に水が侵入しないかどうかやテスト後に正常動作するかどうかをチェックするらしい。そのときに使う水は常温の水道水と決まっているみたいです。なんとなく楽しそうなテストだから僕もやってみたい笑。

等級保護の内容テスト方法
IPX0水の浸入に対して特には保護されていないテストなし
IPX1垂直に落ちてくる水滴によって有害な影響を受けない200mmの高さより3〜5mm/分の水滴、10分
IPX2垂直より左右15°以内からの降雨によって有害な影響を受けない200mmの高さより15°の範囲3〜5mm/分の水滴、10分
IPX3垂直より左右60°以内からの降雨によって有害な影響を受けない200mmの高さより60°の範囲10ℓ/分の放水、10分
IPX4いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けない300〜500mmの高さより全方向に10ℓ/分の放水、10分
IPX5いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない3mの距離から全方向に12.5ℓ/分・30kpaの噴流水、3分間
IPX6いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けない3mの距離から全方向に100ℓ/分・100kpaの噴流水、3分間
IPX7規程の圧力、時間で水中に沒しても水が浸入しない水面下・15㎝〜1m、30分間
IPX8水面下での使用が可能メーカーと機器の使用者間の取り決めによる

防水レベル最高の「IPX8」の注意点

以上のように防塵・防水レベルが等級別に定義されていて、製品ごとに合格かどうかがチェックされているわけですね。

ただ、前述の表を見て、1つ気になるところがありませんでしたか? 僕は調べている時に一瞬「え?」って思っちゃったんですが…。それが何かというと、防水等級の最高値である「IPX8」のテスト内容がめっちゃボヤッととしているってことです。

「IPX8」でもメーカーや機種ごとに保護内容が異なる

「IPX7」まではすごい細かくテスト内容が明確になっているのに、「IPX8」になると急に“メーカーと機器の使用者間の取り決めによる”になるんですよね。

これは、たとえ「IPX8」だったとしても、“メーカーや機種ごとに保護内容が異なる”(保証してくれる範囲が異なる)ことを意味します。

つまりたとえば、「水面下での使用が可能だけど、“常温の水”じゃなくて“お風呂のお湯”の中で使った場合は、正常動作は保証しないよ」とメーカーから言われちゃう可能性があるということ。


その他にも、常温の水でも水道水じゃなくて何か含有物がある場合(塩素が混ざったプールの水)とか、水泳やサーフィンなどの運動を伴う水面下とか、そういったものはテスト条件外になるため、保護性能の範囲外(=保証の範囲外)になっちゃうかもしれないみたいです。

なので、製品に「IPX8」という記述があったとしても、完全に安心しきってはダメということですね。あくまで特定の条件下での性能を示しているだけなので。

iPhoneの防塵・防水性能は?

ちなみに利用者の多いiPhoneシリーズの防塵・防水性能についても触れておくと、iPhoneの最近のモデルは基本的に最高クラスの性能「IP68」等級になっています。

表でまとめるとこんな感じ。

機種等級条件
iPhone SE(第3世代)
iPhone SE(第2世代)
iPhone XR
iPhone X
iPhone 8/8 Plus
iPhone 7/7 Plus
IP67深さ1mまで、最長30分間
iPhone 11
iPhone XS/XS Max
IP68深さ2mまで、最長30分間
iPhone 11 Pro/11 Pro MaxIP68深さ4mまで、最長30分間
iPhone 14/14 Plus/14 Pro/14 Pro Max
iPhone 13/13 mini/13 Pro/13 ProMax
iPhone 12/12 mini/12 Pro/12 ProMax
IP68深さ6mまで、最長30分間

さすがiPhone!と言いたいところですが、実際には他のスマホ(Galaxyシリーズとか)も今やほとんど「IP68」相当の防塵・防水性能を持っているみたいですね。素晴らしい。

ただ、少し気をつけなければいけないのは、先に書いたとおり同じ「IP68」でも内容(性能)が異なっているというところ。

たとえばiPhoneは11以降はずっとIP68ですが、11は「深さ2mまで、最長30分間」の防水性能で、最新の14になると「深さ6mまで、最長30分間」の性能に進化しています(上の表の「条件」参照)。同じIP68でもこれだけの違いがあるので、あまり過信せずに使用した方が良さそうです。

なお、iPhoneは水没による故障は保証対象外になっているので、もしお風呂とかで使う時は十分ご注意を。お風呂で動画などを見たい時は、念のため下のようなアイテムを使った方が安心ですよ。

当ブログの中の人の感想

今回はスマートフォンやガジェットで重要なスペックとなる防塵・防水性能「IP」について、等級の内容などその詳細をまとめました。

最近よく見かけるようになってきたものの、あまり詳細については知られていないのではないでしょうか。今回調べた内容をもとに、僕も今使用しているガジェットなどのスペックを改めて確認してみたいと思います。

故障時の保証にも関わってくるところなので、みなさんも一度チェックしてみてはいかが?

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編集者兼アートディレクター。カメラ・ガジェット・便利雑貨等を買ってはわかりやすくレビューしまくる人。

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